Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は自分のみそかごとを美佐子がうすうす気づいているといないとに拘わらず、仇し女の肌の匂いを知らせることは、たとい名ばかりの夫婦にもせよ、妻への礼儀に欠けていると思っていた。有りていに云えば、彼の方でも美佐子の口にする「須磨」と云うのが果してほんとうの須磨であるのか、それとももっと近い所に適当な場所を見つけてあるのか、ときどき好奇心を感ずることはあるにしてからが、強いて知ろうとは欲しないし、なるべくならば知らないで済むことを願っているのと同じように、自分がいつ何処へ行くと云うことは曖昧にして置きたかった。そしてそう云う心づかいから、女の部屋で服を着る前にいつもボーイに風呂を立てさせたものであったが、そのお白粉はべっとり鬢付け油のように粘り着くたちのものだと見えて、余程ごしごしこすらなければ、洗っても洗っても落ちないのであった。彼はしばしばこの女の全身の甘皮が、自分の肌へ肉襦袢のようにすっぽり被さってしまった気がして、それを残らず洗い落すのに多少の未練を感じながら、やっぱり自分が思ったよりも彼女を愛していることを意識しないではいられなかった。

「プロジット! ア、ヴォートル、サンテ!」