Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
―――と、そう思うと何だかお座がさめるのであった。しかし女の口説き工合で、いい加減にあしらっているうちにいつか冗談が本当にならないものでもなく、そうなればそれで、ずるずるに引き擦られて行きかねないのだが、彼女の愁訴はあまり芝居が多すぎて、懊れたり怒ったりすればするほどますます滑稽になるのである。窓と云う窓には鎧戸がおろしてあるけれど、その隙間からさし込んで来る初夏らしい真昼のあかりが、色ガラスを透して来たような赤味を帯びてどんより物の輪廓を縁取っている部屋の中で、この満身にお白粉を塗った歓喜天の肉体が薄桃色に染めかえられ、東北なまりのセリフを云うごとに手を挙げ臀を振る様子は、まことに哀れと云うよりも賑やかに勇ましく、要はその踊りを見たいためにわざといつまでも気を持たせているのであった。そしてどうかすると、断髪に赤い体であばれている姿を眺めながら、この恰好で紺の腹がけを掛けさせたらとんと金太郎そのままだと思うと、ぷっと吹き出したくなったりした。
ボーイは彼の云い附けた通りキッチリ四時半に風呂を沸かした。
「今度はいつ?」
「多分来週の水曜あたり、………」