Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
「リンディー! リンディー!」「ピオニー! ピオニー!」と、子供はしきりに犬を呼んでいる。ピオニーと云うのは前から飼っているコリー種の牝で、去年の五月に神戸の犬屋から買った時にちょうど花壇に咲いていた牡丹に因んで名をつけたのだが、弘は早速土産のグレイハウンドを曳き出して、そのピオニーと友達にさせようとしているらしい。
「いかん、いかん、そう君のように急に仲好くさせようったって駄目だ。放って置けば自然に好くなるよ」
そう云っているのは高夏である。
「だって小父さん、牝牡ならば喧嘩しないって云うじゃありませんか」
「それにしたってまだ昨日来たばかりだから駄目だ」
「喧嘩したら孰方が強いかしら?」
「そうだな、ほんとに。―――ちょうど両方同じくらいな大きさなんでいけないんだな。孰方か小さいと大きい方が相手にしないんで直ぐに仲好くなるんだがな」
その間も二頭の犬は代る代る吠えていた。ゆうべ帰りがおそかった美佐子は、旅の疲れで睡そうにしていた高夏と二三十分しゃべったばかりで、土産の犬はまだ見ていないのだが、あのひいひいと風邪声のようなかすれた声で啼いている方がピオニーであろう。