Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

「臭かったら、鼻を摘まんでいらっしゃいよ」

そう云って片手でぱっぱっと煙を吐きながら、もう好い加減屑屋へ売っても惜しくなさそうな旅行擦れのしたスーツケースを、寝台の上へ一杯にひろげた。

「まあ、随分買い込んでいらしったのね、まるで呉服屋の番頭みたいに。―――」

「ええ、今度は東京へ行くもんだからね。………お気に召したのがあればいいんだが、どうせ又悪口じゃあないのかな」

「あたしに幾つ下さるの?」

「二本か三本に願いたいね。………どうです、これは?」

「地味だわ、そんなの」

「これが地味かなあ。―――一体いくつになるんですよ。老九章の番頭の説じゃ、二十二三のお嬢様か若奥様向きだって云ってたんだが」

「そんな、支那人の番頭の云うことなんかアテになりゃしないわ」

「支那人て云うけれど、日本人が大勢買いに行く店で、日本人の好みはよく知っているんですぜ。僕ンところの奴なんかいつでも此処の番頭に相談するんだ」

「でも、あたし、そんなのは厭。―――第一それは呉絽じゃあないの」

「慾張ってるなあ。―――呉絽なら三本だが、椴子なら二本しか上げられませんよ」

「じゃあ椴子を戴くわ、まだその方がいくらか得だから。