Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
二人で鼻を突き合わせると、どうしても思うように口がきけないの、或る程度まではいいけれど、それ以上に深入りすると涙ばかり出て来ちまって」
「一体しかし、阿曽君の所へ行けることは確かなんですか」
「そりゃ確かだわ。結局のところは二人の決心次第だと思うわ」
「向うの親や兄弟はなんにも知っていないのかしらん」
「うすうすは知っているらしいの」
「どう云う程度に?」
「まあ、要が承知でときどき会っているらしいと云うくらいな程度に」
「見て見ないふりをしてるんですね」
「そうなんでしょう。それより仕方がないんでしょう」
「じゃ、もし問題が現在以上に進んで来たら?」
「それも、まあ、―――此方の方が円満に別れたあとの事ならば故障は云わないだろう、お母さんは自分の心持を分っていてくれるからッて、―――」
再び庭で二頭の犬がいがみ合いを始めたらしく、きゃんきゃんと啼いた。
「まあ、又!」
と美佐子はちょっと舌打ちをして、膝の上でいじくっていた帯地の巻物をだらりと投げると、立って窓際の方へ行った。
「弘や、犬を彼方へ連れて行ったらいいじゃないの。うるさくって仕様がありゃしない」
「ええ、今連れて行くところなんですよ」