Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
子供の記憶は確かなものだから、成人してから小さい時の事をもう一度はっきり取り出してみて、これはこうだった、あれはああだったと云う風に、その時の智慧で解釈する。だから子供は油断がならない、いずれ大人になる時があるんだから」
美佐子はそれには答えないでまだ窓際にたたずんだままぼんやり外を眺めていた。梅の木の間を小鳥が一羽、枝から枝へ飛び移っている。鶯かしら? 鶺鴒かしら? と思いながら、暫くそれを眼で追っていた。梅の向うの野菜畑で、じいやがフレームの蓋を開けて、何かの苗を畑へ植えているのが見える。二階からは海は望めなかったが、青々と晴れた海の方角の空を視つめると、何がなしにほっと重苦しいためいきが出た。
「今日は須磨へは行かなくってもいいんですか」
「ふふ」
と彼女は、顔は見せないで、苦笑いで答えた。
「この頃は殆ど毎日だそうじゃないですか」
「ええ」
「会いたいなら行ってらっしゃい」
「あたし、そんなに擦れっからしに見えて?」
「見えると云った方が気に入るのか、孰方かな」
「正直のことを云って頂戴」
「やはり幾らか娼婦型だ、だんだんそうなりつつあると云うことに、昨日意見が一致したんだ」