Japanische Klassiker mit Furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme
センセイはピンセットの先に、とうとう十二疋の蟹の卵を捜して、つまみ出して下すったわよ。」
「十二疋とはたいへん居たものだな。」
「そして一応抜歯してから、歯は入歯しなければならないんですって。」
「金魚のくせに入歯するなんて変じゃないか。」
「あたいの歯は二千円くらいだけど、こんどのおじさまの歯は金と白金とをまぜてつくるんですって、でなきゃ、どんなに叮嚀に作っても、おじさまの癇癪玉は、いつも入歯まで噛みくだいておしまいになりますと、センセイがおわらいになって仰有っていらっしたわ。」
「かかるだろうなあ。」
「そっと聞いたら八万六千円もかかるそうだわ、だから、あたい、べそを掻いたような顔をして見せて、着いたばかりの原稿料の小切手を置いて来たわ、これ内金でございます、なんしろおじさまは貧乏ですからと申し上げといたわ。」
「よけいなことは言わないものだ。」
「それからあたい、治療の椅子に腰かけていると、うがい器にどんな仕掛になっているのでしょうか、漂白硝子器に水がくるくる舞いをして、しじゅう清潔なお水が走って流れているんです、それを見ていると先刻からずっと、喉が乾いて尾も頭もからからになっていることに気づいたの、我慢がならなくなって、助手さんの隙を見てね、コップの水を飲んでしまった。