Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
「みんなで手品使いになるの?」
「そうです、そうです」
そしてキシさんは、太郎を部屋のすみにひっぱっていって、小声で言いました。
「手品使いに化けて、金銀廟まで行けます。あやしむ人、ありません。無事に行けます」
「すてきだ、おもしろいなあ」と、太郎は叫びました。
「すぐに行こうよ」
「しっ、秘密、秘密。うまく化けること、大事です」
そこで、太郎は、五色の縞の服と、ふさのついた大きな帽子……キシさんは、白と黒との市松の服と、尖った三角の帽子……チヨ子は、紫のすっきりした服と、白い羽のついた帽子……そんなものをあつらえました。大急ぎで、あくる日までに作ってもらうことにしました。
「あすから、始めましょう」と、キシさんは言いました。
「私とあなた、芸の競争をしよう。どちらが勝つか……」
「よし、やろう。負けるものか」
「私も負けない」
そしてふたりは、笑いながら握手しました。
太郎はその夜、眠られませんでした。キシさんと芸の競争をすることになってみると、さあ、負けたくはありません。けれど、手品も奇術も、これまでに一度も習ったことがなく、なんにも知りませんでした。キシさんと競争どころか、へたをすると、見物人たちから怒られるかもしれません。