Japanische Klassiker mit Furigana
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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 160.770 Zeichen · 322 Bildschirme
さて、男が病院で死んでから十五日ほどたった、ある晩のことです。
賢吉君は勉強部屋の机にむかって、学校の宿題をやっていました。もう夜の九時ごろでした。その日も、夕方だれも見ていないのをたしかめて、つき山の石の下をのぞき、鉄の箱がちゃんともとの場所にあることをたしかめておきました。そして、安心して、勉強していたのです。このぶんでは、ナイフをひろったのは悪ものではなさそうです。あれから半月もたつのに、賢吉君の身辺に、なにごともおこらないのですから、もうだいじょうぶという気がしていました。
ところが、そうではなかったのです。
宿題のむずかしいところにさしかかったので、賢吉君はそれを考えるために、えんぴつをおいて目の前の空間を見つめていました。すると、目の前になんだか、もやもやと動いているものがあるのです。おやっとおもって、目をさだめてそこを見ました。
机のむこうに、ガラス窓があります。カーテンがひいてないので、そこからまっ暗な庭が見えています。そのまっ暗な中に、なにか黒いものがもやもやと、動いているのです。
やみの中に黒いものですから、よく見わけられませんが、なにかいることはたしかでした。