Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「その真っ暗な中へ入って、灯りを点けたのだな」

「え、なれておりますから」

「灯りをつけた時は、たしかに伯父の死骸はこの部屋にあったのだな」

「確かにございました。長火鉢にもたれるようになって、首をがっくり前へ下げて」

なるほどそう言えば、長火鉢の灰が血潮を吸って真っ黒に固まっております。

「その死体を見て、お前は真っ直ぐに昌平橋の方へ駆けて来たのだな」

「え」

「何処へも寄ったわけではないな」

「何処へも寄りません」

「そんな時、当り前なら、お隣りへ声を掛けるのが本当じゃないか」

平次の問いは微妙で辛らつでした。

「でも、面喰ったんです。あんまりびっくりして」

お栄の調子は淡々として何んの技巧もなく、そう言われる意味さえも呑込み兼ねる様子です。

「それにしても昌平橋の方へ来るのは変じゃないか。隣りの家へ駆け込まなくても明神下のおれの家くらいは知ってるだろう、昌平橋へ行くのは、まるであべこべじゃないか」

薄暗い行燈の側、もう一つの手燭は畳の上に置いて、斑々たる血痕に繞らされながら、この臨時お白洲は、物凄くも効果的です。

「宇八さんが帰るころだと思ったんです。伯父さんが殺されているのを見ると、一番先にそんな事を考えて昌平橋の方へ行ったのでしょう。