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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

そうしているうちに、完全に陽は暮れてしまいました。五重の塔の屋根の上の、ひょっとこの面の怪人は、階下の騒ぎを面白そうに聴きながら、鼻唄で浄瑠璃か何んかをうたっているのです。

「畜生、憎い野郎じゃありませんか。この五重の塔を買い占めて、下からポーッと燃やしてしまいましょうか」

途方もないことをいう八五郎でした。

「馬鹿なことをいえ、――だが、相手も生身の人間だ、時が経つうちには腹も減るだろうし、眠くもなるだろう。ここでジッとして待っている、こっちの方がどんなに楽だか知れやしない」

「ヘエ」

「屋根の上よりはここの方が住みよかろう。五、六日逗留のつもりで、布団と食物を持って来てくれ。宜いか、八」

「なるほど、そいつは面白いや。屋根の上と根比べなら、負けっこはねえ」

八五郎は有頂天になって、籠城の支度に塔を降りようという時でした。

「あれは何んでしょう、親分」

下っ引の一人が、開いた扉の外で、夕空に透しながらいうのです。

「?」

平次と八五郎はヒョイと扉の外へ首を出しました。

「アッ」

驚いたのも無理はありません。さながら一匹の巨大なる蜘蛛が、塔の上の五輪に伝って頂上の屋根から庇へ下へと長々と垂れた一本の綱を伝わって、何んの苦もなく、スルスルと下へ降りているではありませんか。