Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「八、へっついへ手を入れてみてくれ」

平次は妙なことをいいます。

「やけどをしやしませんか」

「火があればお静は家の中にいる」

八五郎は何が何やら解らぬままに、いきなりへっついの中に手を突っ込みました。

「火の気はありませんよ、親分」

手についた冷たい灰をたたきながら、八五郎は顎をしゃくります。

「火がなきゃ、お静は煙のように消えたわけじゃない」

「ヘエ?」

「へっついへ火を焚かないのに、引窓を開けて置く筈はない。日が暮れると引窓を締めた上、綱はその柱の環に結んで置くのがいつものやり方だ」

「?」

「引窓は綱を結ばずに置けば、独りで扉が落ちて締まるのだ」

「――」

「曲者はお静をさらって、へっついを足場にその引窓から屋根の上に出た。曲者が出た後で窓の扉は独りで締ったが、綱はへっついの上へダラリと下がっていた、わかったか、八」

平次にこういわれると、最早疑いを挾む余地もありません。

「あ、あれへ出たんですか。行ってみましょう」

八五郎は思い立つと躊躇しませんでした。矢庭にへっついを踏むと、それを足場に窓へ這い上がります。

「どうだ、うまく行くか、八。尻でも押してやろうか」