Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「――」

「五重の塔の頂上から、綱一本を頼りに下まで楽々とすべり降りた人間があったことはお前も知っているだろう」

「あの野郎ですよ、親分。あのひょっとこ野郎が、一と足先にやって来て、姐さんをさらって引窓から飛び出すという大変な芸当をやったに違いありませんよ」

八五郎は精一杯に自分のひざを叩きます。平次の導いてくれた結論に、漸く自分も到達したのです。

「そんな芸当の出来る奴は、どんな人間だと思う」

「武芸の達人でなきゃ――」

「武芸の達人はひょっとこの面を被って、浅葱の股引を穿くのは変じゃないか」

「軽業師」

「その通りだよ、八」

平次はまた深々と考え込んでしまったのです。

「何処の野郎です、親分」

八五郎はもう起ちかけておりました。平次の言葉一つで、京大阪までも飛んで行くつもりでしょう。

「お栄――近江屋のお栄――あの女がもと居た軽業の親方は何んとかいったな」

平次の推理は飛躍します。

「明石一座の五郎八ですよ」

「その五郎八は、江戸にいるのか」

「東両国で小屋を掛けていますよ」

下っ引の一人、両国を縄張りにしている寅吉というのが引取りました。

「行ってみよう。五郎八に逢ったら、また何にか良い思案も浮ぶだろう」