Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「灯りを貸せ」

「ヘエ」

半次の手から受取った手燭を、眼八分にさげて透しましたが、小屋の中は森閑として、ろくなねずみも住んでいそうはありません。

両国の小屋は半永久的に建てたもので、それはひと通り整ってはおりましたが、夜中に手燭一つで見る凄まじさはまた格別で、高い天井はどうくつのようにやみに閉ざされて、灯りの届かぬ土間の隅々も、ちみもうりょうの夜の住家でないとはだれが保証出来るものでしょう。

しかし、土間にも、桟敷にも舞台にも楽屋にも、なんの変ったところもなく、もとより人一人かくせるくまもありません。

「五郎八はきょう何刻ごろ帰ったのだ」

一巡してもとの裏木戸に帰ると平次はこのグロテスクな木戸番にたずねました。

「酉刻(六時)客を追い出すのと一緒でした。――一座の者はそれから小屋の中を掃除して、四半刻くらい遅れて帰ります」

「五郎八は近ごろ舞台へ出ているのか」

「相変らず芸達者ですが、二、三日前から痛風の気味で、舞台へは顔を出すだけで、危ない芸当はやりません。お客様はそれでも堪能して下さいます」

「何処か痛いところでもあるのか」

平次はツイ先刻の五郎八の姿を思い出しました。