Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「暫らく休んでいらっしゃいよ。ウ、フ」

女は面白そうな笑い声を残して、男と一緒に居間の方へ行ってしまいました。

二人の狙っているのは、いうまでもなく古だんすでした。曽つてはお栄が恐ろしい冒険までしてその中を捜ろうとした古だんす、ツイ今しがたまで銭形平次が渾身の智慧を絞って、その秘密を探ろうとした古だんすが覚束ない行燈の灯りの前に、その古怪にさえ見える姿をさらして、粛然と据えられているのです。

「さあ、急がなきゃ」

「――」

女が号令をすると、男は急に勢いづきました。どちらも覆面ですが、女の声がひどく鼻にかかって、蜜のような媚を含んでいるのが、場所柄の陰惨な空気にそぐわない、一種の焦立しさを感じさせます。

「お前知っているのかえ」

「知っているわけじゃないが、噂には聴いているよ。近江屋半兵衛が死んだ後で、一万二千両の行方がわからないが多分このたんすの中に、その隠し場所を書いた心覚えの書付けがあるに違いない――とね」

「その通りさ。抽出しという抽出しは皆んな調べてしまったが、あとはどうするんだ」

「抽出しなんかにあるものかね、お待ち」

女は男を掻き退けるようにたんすの前へ出ました。