Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「ヘッ、底にも仕掛けはねえ。念のためにおしりをたたいて御覧に入れますか」
「バカだねえ」
大男と若い女は遊戯気分でそして傍若無人でした。が、たんすには全く何んの仕掛けもなく、白々とした底板には年代の古びさえ付いてはいなかったのです。
「この通りだ、姐御。下らねえ細工をして、岡っ引どもを追い散らしても、握りッこぶしで引揚げちゃ、あまり良い器量じゃないね」
「文句をおいいでない、――おや、おや」
「何んだえ、姐御」
「この抽出しの錠前は飾り物じゃないか。鍵のきかない錠前があるんだよ」
女は抽出しの錠前――古風なでっかい金具をいじっておりましたが、その錠前の一つが鍵がきかないばかりでなく、ガタガタ動いていることに気がついた様子です。
「珍らしくはないよ、そんなもの。はばかりながらこちとらのたんすは鍵がきけば不思議なくらいのものだ」
「でも、この釘は抜けるんだよ。その上、金具がわけもなく外せるじゃないか、おや、おや、おや」
「何がおやおやだい」
「この金具に、紙片が入っているんだよ、おや、おや」
女は金具の中に入れてあった、小さく畳んだ紙片をつまみ上げたのです。
「いやだぜ、そんなに物驚きをする年じゃあるめえ」