Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
あっしが昌平橋へ行って、暫らく立っていますから」
八五郎はあわてた恰好で手などを出すのでした。
「何を出すんだ」
「錠前の中から出た紙片ですよ。相手がそんなに欲しがっているなら、早速持って行って、姐さんの身体と換えて来ようじゃありませんか」
「いやだよ」
「ヘエ」
「おれはそんな術には乗りたくないよ」
平次の表情は心持堅くなりました。紙片一つと、恋女房のお静の交換と、敢然として断わるのは、容易の努力ではなかったでしょう。
「だって見す見す姐さんが」
「お静のことを何とも思わないわけじゃないが、相手は義理も人情も思いやりも恥も外聞もない人間だよ」
「ヘエ」
「昌平橋の上に八五郎がボンヤリ立っているうちに、とんびが飛んで来て、手の上の紙片をさらったとしたらどうなるんだ」
「まさか、親分」
「都合よく行って、紙片と人質と換えたとしても、その人質が身代りの贋首だった日にゃしりの持って行きどころがあるまい」
「――」
「首尾よくお静と換えたとしても、大事の証拠を手離しちゃ、おれの十手は腐りものだ――そういったものじゃないか、八」
「だって、親分」
「お前のいい度いことはよくわかるよ――それじゃあんまり不人情だ――というつもりだろう」