Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

それはいうまでもなく明石一座の座頭五郎八の家です。

「八、お前と吉と二人は裏へ廻れ。逃げ出す奴があったら、だれでも構わねえから縛るのだ」

「ようし」

八五郎と湯島の吉が、庇合いの滝のような雨にたたかれながら裏へ廻るのを見送って、平次は表の戸をたたきました。

「今晩は、――親方はいるかえ」

「――」

「おれは平次だが、ちょっと開けてくれ」

真っ向から名乗る平次の声にも、中からは寂として応ずる者もありません。

「開けて見ましょうか、親分」

「そうしてくれ」

力自慢の金太が、双手を戸に掛けてグイと引くと、ぬれた雨戸は何んの手答えもなく、油でも引いたようにスルリと開きます。

「あッ」

平次は恐ろしい疑惑に暫らくは立ち竦みました。が、次の瞬間気を取り直すと、

「隣りを起して、灯りを借りて来てくれ。踏み込んだところで、あれじゃどうにもなるまい」

咄嗟のことで、御用の提灯の用意もなく、よしんばそんな物を持っていたにしても、この豪雨の中ではどうすることも出来ません。

間もなく巳之吉はお隣りの荒物屋をたたき起して、小田原提灯を借りて来ました。

「一つで間に合いますか」

「宜いとも、この家の中には、多分息の通っている者はないだろうよ」