Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「――」
「いつかおれ達が来た時も、女房のお六が五郎八に半纒を着せたりしたろう、――夕立が来て薄寒くなったので、其処にあった女物の半纒を着せてもらったのだろう」
平次の理智は冷たく働き出します。
「すると五郎八を殺したのは、あの火傷の女房ですか?」
八五郎の想像は飛躍します。
「待ちなよ八。五郎八に半纒を着せてやるのが、いつも女房ときまったわけじゃあるまい、――下手人は間違いもなく女だ、――それも濡れて来た女だ。長火鉢の前の座布団がグッショリ濡れているだろう」
「――」
「後から半纒を着せかけると見せて、半纒の下に隠した匕首で、一と突きに首筋を刺した。みんな同じ手口だ」
「するとお栄」
平次はそれには応えず、五郎八の死骸を引起して、大急ぎでその腕を捲って見ました。右にはなんにもありませんが、左の二の腕には、墨黒々とでっかい賽ころを描いて、豆粒ほどの黒い星が一つ。
「親分、こいつは斑組の首領じゃありませんか」
提灯と一緒に、長んがい顎まで持って来る八五郎です。
「あわてるな、こいつは入墨じゃない。墨で描いた悪戯だよ」
「ヘエ?」
「お里を殺した時は死骸に入墨しやがったが、今度はそんなすきがなかったので、墨で描いておれ達をからかったのだよ」