Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
あの金はもともと尾州の御用金だ、二年前に東海道宇津の谷峠で奪られたのを、漸く取戻したことになるじゃないか。一万二千両のうち二千両の行方は判らないのは惜しいが――」
平次はそんなことをいうのです。
「でも、一万両ですぜ、親分。それも銭形の親分が、姐さんのお静さんまでさらわれて、命がけの苦労をして取り還したことは、江戸中で知らない者がない筈だ」
「大層な評判だってね。湯屋でそのうわさが出て、俺はとんだ目に逢ったよ。うっかりバアと顔を出して、そのうわさの中へ飛び込むわけに行かねえ。あらかた四半刻も湯の中に漬ってよ、ジッと辛抱してみたが――」
「気が弱過ぎますよ、親分は」
「お前はまた少し気が強過ぎる」
「何んでも構わないから、世間の評判で銭形の親分の手柄が耳に入らないことはあるめえから、一万両の金を受取る前に、尾張の大将か何んか腐った羊羹の一と竿も持って来て、この度は有難う御座いました。とんだ骨折をかけました――と」
「止さないかよ馬鹿馬鹿しい。俺は羊羹の腐ったのと大名附合いはきらいだよ」
「だから、親分」
「もう判ったよ」
「だってまだ話は半分きゃ済んじゃいませんよ」