Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

谷中へ帰れば、お神さんを五重の塔から救い出したなとはわかっているはずですから、あの青髯の武家が私を許して置くはずはありません」

「――」

「そうかといって頼るところもなし、私は思案に余っているところを、八五郎親分に捕まってしまいました」

お銀は漸くいいきって、恥らう風情に首を垂れるのです。身じろぎする毎に、パッと掛香が匂って大きいまげの下に、ほのかな頬が霞みます。

「谷中の店はどうなるんだ」

「年寄りの伯父がおりますから、何んとかやって行くことでしょう。もともと他所へ縁づいて、不縁になって帰った身体ですから、伯父は私なんか当てにはしてくれません」

谷中の女――お花屋の姪、正確にいえば出もどりのお銀は、一度はお静を助けはしたものの、もとの谷中に帰る勇気もなく、路地の中にウロウロして、八五郎につかまったのです。

「でも、私は帰りましょう。あのお武家は、あんないやがらせなことをいっても、脅かしにきまっています。弱い女の私に、この上仇をしたところで、どうなるものでしょう」

お銀は潮時を見て、そっと起ち上がるのでした。

「あれ、お前さん――今帰っては夜道が物騒だし、それにあのお武家に、どんな仇をされるかも知れない」