Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「火はもう家いちめんにまわったぜ。危なくていられやしない、あばよ、姉御」

定吉は最後の冷笑を残して、穴の口から身を引くと重い蓋を――

「親分、あの蓋をされちゃ、下からは開けようがない。早く、早く私を踏み台にして」

お栄は忙がしく平次に暗示を与えると壁側に後ろ向きに立って自分の身体を梯子にするのでした。

「よし、暫らく我慢しろ」

平次はその肩に手を掛けると、女の帯際を踏んで、見事に跳躍しました。

「野郎、くたばってしまえッ」

半分蓋を閉めかけたところへ、平次に飛びつかれた定吉は、一度は後ろへ引っくり返りましたが、立ち直ると早くも匕首が。

「ばかッ」

単衣の肩を裂かれた平次は、わずかにその切っさきを避けると、懐中をさぐって手なれた青銭が二枚三枚、炎と煙をきって定吉の額に、唇に拳に飛びます。

そのうちにも三方からまわった炎は、さながら火焔車と転じて、右から左から後ろから、カッと迫るのです。

平次に匕首をたたき落されると、定吉は何処かへ姿を隠してしまいました。

八方から迫る炎、うず巻く煙、最早ここから無事に逃げ出す見込みもありやなしや――そんなことに構わず、平次は穴倉の口に顔を持って行きました。