Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「まア、もう少し過してくれよ、お栄さん。今晩という今晩は命がけでききたいことがあるんだが、お前が素面じゃきり出しにくい」
「まア、怖いじゃありませんか。眼なんか据えたりしてさ」
「眼も据わるだろうよ、十日も考え抜いたことを、一ぺんにいってしまおうてんだ。驚くな」
「驚きゃしませんが、――八五郎親分は濡事は下手ねえ、そんなせりふはちょぼにも銅鑼にものりゃあしません」
「チェッ、銅鑼にのる濡事なんてあるかえ」
二人はそういううちにも、照れ隠しらしく引っきりなしに盃を重ねておりました。玉山滅茶滅茶に崩れて八五郎の眼尻が下がって、袷の襟が一尺八寸ばかり開いたころは、お栄も横ッ坐りに、赤いもすそをかき合せながらチャブ台を押し除けて八五郎の膝の上へ、こう片肘を突いたまま斜め下から意味深く見上げているのでした。
「銅鑼が気に入らなきゃ木魚よ。ウ、フ、洒落た口説ねえ」
「冗談は宜い加減にして、お前は本当に俺の話を聴いてくれる気があるかえ」
「大ありよ八さん、――八五郎親分といっちゃあ気がないから、――御免なさい、――これから八さんと呼ぶワ」
「俺は本気でお前を口説くかも知れないよ。