Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「お栄はすぐ出かけますよ。今がおめかしの真っ最中で」
お栄がイソイソと出て行く姿を見ると、入れ換って八五郎は、平次を案内して、近江屋に入りました。
主人の半兵衛が死んでから、商売も休み続きで、お栄が外へ出かけるときは、カギを女世帯のお隣りに預けることまで、八五郎は知っておりました。
「石原の定吉のうちで、検屍の役人がお前に逢いたいっていったと聴いて、さすがのお栄も胆をつぶして飛んで行きましたよ」
けろりとして、そんな事をいう八五郎です。
「方便にしちゃ、殺生なウソだな。とも角、お栄が帰って来るまでに、調べて置きたいことがうんとある」
「ここに一万二千両の金を隠してあるんですか、親分」
「そんな事じゃない、――お前は何処に寝るんだ、第一それから聴きたい」
「入口の三畳は叔母さんで、その次の六畳は私、――お栄はしゃくにさわるが、奥の六畳ですよ」
「妙なことがしゃくにさわったものだな」
平次は苦笑しながら、奥の六畳に入ってみました。そこは曽つての主人半兵衛の部屋だったらしく、調度もぜいたくで、押入を開けると見事な夜の物が、キチンと畳んで入れてあります。
三尺の床の間と丸窓が一つ、そこには格子がありませんから椽側の雨戸は閉っていても、履物さえあれば昼でも夜でも自由に出入りが出来るのが妙に平次の神経を尖らせます。