Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
八五郎はここを先途といった一生懸命さです。
「その弁解は後で聴こう。とも角鳥を逃がしちゃ話にならない、直ぐ本所へ引返そう」
「本所へ?」
「石原へ行って、騙されたと気がつくと、あの女は何んの未練もなくその場から飛ぶだろう、一万二千両の隠し場所を知っている人間だ。近江屋の身上なんか、へとも思っちゃいまい」
「それじゃ親分、石原まで」
平次と八五郎は、弾みきった猟犬のように、その場からまっ直ぐに石原へ駆けつけました。が、
「お栄は? 近江屋のお栄は来ませんか」
門口で見張っている石原の利助の子分にきくと、
「そんな人は来ませんよ」
と、つままれたようなあいさつです。
「若くて綺麗な新造だが」
八五郎、もどかしそうに注を入れましたが、
「若いのも年取ったのも、女は一人も来ませんが」
答えは少し不愛想で冷かし気味でした。
「八、ムダだ」
「ヘエ?」
「お栄はお前やおれよりは悧巧だよ。こいつは臭いと思ったら未練がましくその辺にマゴマゴしているものか」
「ヘエ?」
八五郎は未だ信じ兼ねる様子でした。
「お前におびき出されたと見せて実は引返しておれ達の調べを見たんだろう。そして袋戸棚の草履を見つけられると、こいつはいけないと、その場から高飛びしてしまったに違いない」