Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
そして彼女の最大の秘密はもしや私に梅毒がうつりはしないかということ、そのために私に嫌われはしないかということだった。そのために女は私とのあいびきの始まりは常に硫黄泉へ行くことを主張した。私が淋病になったことは、女の罪悪感を軽減したのだ。女はもはやその最大の秘密によって私に怖れる必要はないと信じることができた。彼女はすすんで淋病のうつることすら欲したのだった。
私はそのような心情をいじらしいとは思わなかった。いじらしさとは、そのようなことではない。むしろ卑劣だと私は思った。私は差引計算や、バランスをとる心掛が好きではない。自分自身を潔く投げだして、それ自体の中に救いの路をもとめる以外に正しさはないではないか。それはともかく私自身のたった一つの確信だった。その一つの確信だけはまだそのときも失われずに残っていた。私の女の魂がともかく低俗なものであるのを、私は常に、砂を噛む思いのように、噛みつづけ、然し、私自身がそれ以上の何者でも有り得ぬ悲しさを更に虚しく噛みつづけねばならなかった。正義! 正義! 私の魂には正義がなかった。正義とは何だ! 私にも分らん。