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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

何をいっても耳をかさずに、両手を取って手先の者は、お綱と弦之丞をムリ無態に舟から揚げて、東奉行所へ引っ立てて行こうとする。

たかが七人や八人の手先、斬って払うになんの手間暇は欠かぬであろうが、阿波以外の奉行所から、つけ狙われる覚えのない彼であれば、こんないささかの間違いごとに、夕雲流をふりかざすのも無用な殺生であるし、また、はなはだおとなげない。ならばできうる限り、尋常に話しあって、どういう誤解か溶けあってみたい。

こうした場合に、非礼を咎めあったり、いたずらに反抗するのは、愚であると悟ったので、弦之丞は、かれらのなすがままに、土橋の袂まで曳かれてきたが、そこで、

「もう一応お伺いいたすが」

と、手先の中でも、物の分りそうな、同心を顧みて、静かにいった。

「なんじゃ」

「奉行所へまいれとあらば、決して拒みはいたさぬが、われら、夜盗にもあらず、また兇状持ちでもござらぬ。どういう理由でお引き立てなさるか、その儀だけを承知いたしたい」

「売女の狩立てじゃ」

「えっ、売女の?」

「みれば、貴公も武家ではないか。それくらいなことは、自分でも分っているであろう。身分を隠してくれとか、見遁してくれとか、神妙に詫びるならとにかく、手先の者を投げこんだり、吾々の改めに楯つく口ぶり」