Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
三
が、その人は、宮内省の調度頭をしている男爵は、内親王の御降嫁の御調度買入れのために、欧洲へ行っていて、此の八月下旬でなければ、日本へは帰らないのだった。
住んでいる家に、執達吏が、ドヤ/\と踏み込んで来て家財道具に、封印をベタ/\と付ける。そうした光景を、頭の中に思い浮べると、瑠璃子は生きていることが、味気ないようにさえ思った。
父も娘も、無言のまゝに、三十分も一時間も坐っていた。いつまで、坐っていても父娘の胸の中の、黒いいやな塊が、少しもほぐれては行かなかった。
その時である。また唐沢家を訪う一人の来客があった。悪魔の使であるか、神の使であるかは分らなかったけれど。
三
父と娘とが、差し迫まる難関に、やるせない当惑の眉をひそめて、向い合って坐っている時に、尋ねて来た客は、木下と云う父の旧知だった。政治上の乾分とも云うべき男だった。父が、日本で初ての政党内閣に、法相の椅子を、ホンの一月半ばかり占めた時、秘書官に使って以来、ズッと目をかけて来た男だった。長い間、父の手足のように働いていた。父も、いろ/\な世話を焼いた。が、二三年来父の財力が、尽きてしまって、乾分の面倒などは、少しも見ていられなくなってから、此の男も段々、父から遠ざかって行ったのだ。