Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
六
どんなに、あの女性の本名が知りたくてももっと上品な態度が取れたのにと思った。
が、そうした不愉快さが、段々消えて行った後に、瑠璃子と云う女性の本体を掴み得た満足が其処にあった。而も、瑠璃子と云う女性が、今も尚ハンカチーフに包んで、ポケットの底深く潜ませて、持って来た時計の持主らしい、凡ての資格を備えていることが何よりも嬉しかった。短剣を鏤めた白金の時計と、今日見た瑠璃子夫人の姿とは、ピッタリと合いすぎるほど、合っていた。今日にでも夫人を訪ねれば、夫人は屹度、死んだ青年に対する哀悼の涙を浮べながら、あの時計を受取って呉れるに違ない。そして、自分と青年との不思議な因縁に、感激の言葉を発するに違ない。そう思うと、信一郎の瞳にあざやかな夫人の姿が、歴々と浮かんで来た。彼は一刻も早く、夫人に逢いたくなった。其処へ、彼のそうした決心を促すように、九段両国行きの電車が、軋って来た。此電車に乗れば、麹町五番町迄は、一回の乗換さえなかった。
六
電車が、赤坂見附から三宅坂通り、五番町に近づくに従って、信一郎の眼には、葬場で見た美しい女性の姿が、いろいろな姿勢を取って、現れて来た。