Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
二
殊に、鍵のかかり得るような西洋室はない。瑠璃子を肉体的に支配してしまえば、高が一個の少女である。普通の処女がどんなに嫌い抜いていても、結婚してしまえば、男の腕に縋り付くように、彼女も一旦その肉体を征服してしまえば、余りに脆き一個の女性であるかも知れない。勝平はそう思った。
「それなら丁度ようございますわ。三越へ行って、彼方で入用な品物を揃えて参りますわ。」
彼女は、身に迫る危険な場合を、少しも意に介しないように、寧ろいそ/\としながら云った。
二
愛し合った夫であるならば、それは楽しい新婚旅行である筈だけれども、瑠璃子の場合は、そうではなかった。勝平と二人限で、東京を離れることは、彼女に取っては死地に入ることであった。東京の邸では、人目が多い丈に、勝平も一旦与えた約束の手前、理不尽な振舞に出ることは出来なかったが、葉山では事情が違っていた。今迄は敵と戦うのに、地の利を得ていた。小さいながらも、彼女の城廓があった。殊に盲目的に、彼女を護っている勝彦と云う番兵もあった。が、葉山には、何もなかった。彼女は赤手にして、敵と渡り合わねばならなかった。勝敗は、天に委せて、兎に角に、最後の必死的な戦いを、戦わねばならなかった。