Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
海は頻りに轟々と吼え狂った。波は岸を超え、常には干乾びた砂地を走って、別荘の土堤の根元まで押し寄せた。
「潮が満ちて来ると、もっと波がひどくなるかも知れねえぞ!」
海の模様を見るために出ていた、別荘番の老爺は、漆のように暗い戸外から帰って来ると、不安らしく呟いた。
「まさか、此間のような大暴風雨にはなりますまいね。」
女中も、それに釣り込まれたように、オド/\しながら訊いた。皆の頭に、まだ一月にもならない十月一日の暴風雨の記憶がマザ/\と残っていた。それは、東京の深川本所に大海嘯を起して、多くの人命を奪ったばかりでなく、湘南各地の別荘にも、可なりヒドイ惨害を蒙らせたのであった。
「まさか先度のような大暴風雨にはなるまいかと思うが、時刻も風の方向もよく似ているでなあ!」
老爺は、心なしか瑠璃子達を脅すように、首を傾げた。
夜に入ってから、間もなく雨戸を打つ雨の音が、ボツリ/\と聞え出したかと思うと、それが忽ち盆を覆すような大雨となってしまった。天地を洗い流すような雨の音が、瑠璃子達の心を一層不安に充たしめた。
恐ろしい風が、グラ/\と家を吹き揺すったかと思う途端に、電燈がふっと消えてしまった。