Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
五
普通にお墓詣りをする人が、こんな雨降りの日に出かけて来る訳はない。そう思って来ると、雨降りにでも行こうと云う自分の心、否お墓詣りと云うことを、ダシに使おうとしている自分の心が、美奈子は急に恥かしくなった。彼女は、われにも非ず顔を赤くした。
「おや! 美奈さん。何がそんなに恥しいの。お墓詣りするのが、そんなに恥しいの?」
明敏な瑠璃子は、美奈子の表情を見逃さなかった。
「あら! そうではありませんわ。」
と、美奈子は周章てゝ、打ち消したが、彼女の素絹のように白い頬は、耳の附根まで赤くなっていた。
五
その次の日曜は、珍らしい快晴だった。洗い出したような紺青色の空に、眩しい夏の太陽が輝かしい光を、一杯に漲らしていた。
美奈子は、朝眼が覚めると、寝床の白いシーツの上に、緑色の窓掩を透して、朝の朗かな光が、戯れているのを見ると、急に幸福な感じで、胸が一杯になった。今日は何だか、楽しい嬉しい出来事に出逢いそうな気がした。彼女は、いそ/\として、床を離れた。
午前中は、いろ/\な事が手に付かなかった。母に勧められて、母のピアノにヴァイオリンを合せたけれども、美奈子は何時になく幾度も幾度も弾き違えた。