Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
夜の密語
一
自分の結婚などは、青年にはどうでもよかったのだ。たゞ、自分が結婚した後に起る筈の、母の再婚を確めるために、自分の結婚を、口にしたのに過ぎないのだ。それとは知らずに、興奮した自分が、恥しくて恥しくて堪らなかった。彼女の処女らしい興奮と羞恥とは、物の見事に裏切られてしまったのだ。
彼女は、照っている月が、忽ち暗くなってしまったような思がした。青年と並んで歩くことが堪らなかった。彼女の幸福の夢は、忽ちにして恐ろしい悪夢と変じていた。
彼女はそれでも、砕かれた心をやっと纏めながら返事だけした。
「妾、母のことはちっとも存じませんわ。」
彼女の低い声には、綿々たる恨が籠っていた。
夜の密語
一
青年との散歩が、悲しい幻滅に終ってから、避暑地生活は、美奈子に取って、喰わねばならぬ苦い苦い韮になった。
開きかけた蕾が、そうだ! 周囲の暖かさを信じて開きかけた蕾が、周囲から裏切られて思いがけない寒気に逢ったように、傷つき易い少女の心は、深い/\傷を負ってしまった。
それでも、温和しい彼女は、東京へ一人で帰るとは云わなかった。自分ばかり、何の理由も示さずに、先きへ帰ることなどは、温和しい彼女には思いも及ばないことだった。