Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lee 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 209.260 caracteres · 418 pantallas

Aozora Bunko

「持って参りましょう」

熊は大きな酒徳利をさげて来た。そのまま焚火にあたためて、介三郎がまず茶碗にひとつうけ、浪人の牟礼、浮田やそのほかの者へもまわした。

けれど石権をはじめ、職人たちのほうは、かれらの飲みのこしなどをうけるのは潔しとせぬように、たれも茶碗を出そうとしなかった。

「なぜ飲まぬか。たれもかれも、眼のないほど好きではないか」

介三郎にいわれて、渋々、手を出してつぎあったが、それでもなお釈然たる空気には溶けあわなかった。

「うまいなあ……」

ひとり介三郎は舌つづみ打って、

「こうして大勢で酌む酒のうまさ。貧しいためなおさらうまいな。だがこれは、酒の味か、人の味か。……考えてみると、わからんぞ。もし、たった独りぽっち、この寒夜に、この闇の野原で、飲んでみたとして、この味はあるだろうか。ははは、分りきったこと、芭蕉や西行でもなければ、耐えられることじゃない。……してみるとこれは、酒を飲むとはしているが半分以上、人間が醸しあっているものの味であろう、そうだ人間の味」

と、飲みほした一杯を、すこし距てている浮田甚兵衛にさして、

「なんと、そうではあるまいか」