Clásicos japoneses con furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lee 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 209.260 caracteres · 418 pantallas
三
そして、
「こう町中を連れ立って歩いては、微行も微行になるまい。中食は又左の浪宅にてしたためる。わしは葛屋へ立寄って、饅頭を誂えて後より気まかせに参るゆえ、そちたちは、人見又左の宅で待ちあわしておれ」
と、次の辻をひとり曲って行った。
気がかりにはなるが、老公の意志である。ふたりは老公のすがたが、旧い菓子舗の軒へはいるのを遠くから見届けてから、人見又左衛門の浪宅へ先に行って待つことにした。
老公は、老舗の店がまえをながめまわし、そこの黒い看板に、
浙江まんじゅう
とあるのを見出すと、杖を店の土間へ入れて、おおどかに呼びたてていた。
「まんじゅう屋。まんじゅう屋。――誰もおらんのか。商いはしておらんのか」
三
返辞がない。
そこで老公は、少々、足のつかれを思い出して、折もよしと、店框の端に腰かけていた。
するとひとりのお菰がのっそりと入って来た。裏へでもまわって物をいうのかと見ていると、そうではなく、
「菓子をくれい。おい、店番はいないのか。店番は」
と、さきに呼んだ老公と同じように、奥仕切の中のれんへ向ってどなりだした。
老公の声よりもずんと大きいので、届いたとみえ、奥のほうで返辞がした。