Clásicos japoneses con furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lee 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 209.260 caracteres · 418 pantallas
「もとよりのこと、ゆめ、あの隠居には、油断はならぬ。天下に怖いものはないが、この吉保にも、あの老人だけは苦手である。思えばそちはよくもよくも、ああいう主君の下に三十年も無事に仕えて来たものじゃ。それも、ただ凡々ではなく、無二の者と、重用されて来たところは、そちも隠居以上、油断のならぬ男とみえる」
「おからかい遊ばしては困ります。そういう論法でいえば、あなた様が将軍家や大奥をうごかされる才腕など、何とお称えしてよいか、適当なことばもちょっと見当りません」
「ははは。さほどでもない」
「ご謙遜です」
「いうな。口舌では、所詮かなわん」
「――が、てまえの望みは小さく、あなた様のお希望は、いわゆる大望です。当然、格のちがいは是非もありません」
「何しても、助力してくれい。わしの望みの成るは、そちの望みが成るも同じと思うて――」
「さればこそ、水戸家だけでも菲才には重荷にすぎる身を、こうして、ご当家のお為には、粉骨砕身を誓っておりますが、なお、ご不満でございましょうか」
「いや、いや。不満どころではない。水戸殿をして、隠居のほかなき窮地へまで追い陥したのも、内部にあって、そちがよく吉保と呼吸を合せてくれたからだ。