Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas

Aozora Bunko

むらさき色のビードロです。その当時にあっては、長崎の者か蘭法医でもなければ見知らない、小さな薬の瓶。

それが拾われて、釘勘の手のひらに、気味の悪い色と冷たさを感じさせています。

丹頂のお粂が、倉皇として去った後の部屋にこの不思議な品は、そも何の謎でありましょうか。

とにかく、由々しい物を手に入れたように、それをふところに捻じこむと、釘勘は表の帳場へ降りて来て、主人や番頭へ、

「忙しいところを、お邪魔しました」

「どういたしまして、何かあの……」

「なに、べつに」

本来は、二組の客の行先を、くわしく問いただすべきところでしょうが、お粂にしろ、伊兵衛にしろ、正直に行く先を帳場にいって立つはずはなく、聞くだけ野暮と見限りをつけて裏口から飛び出すと、そこに、

「親方」

と、待構えていたのは手先の伝吉、

「一足ちがいで、逃げられた様子ですぜ」と、そばへ来て手おくれを口惜しがる。

「ウム、惜しいことだッたが、仕方がねえ。それよりも万太郎様は?」

「さっきも、親方が意見していたようですが、どうして、なかなか根岸へ帰る気ぶりはなく、今し方まで護国寺の前に居ましたが、そのうち、馬春堂と伊兵衛が筑波屋を出て行ったので、それを尾行てゆきました」