Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas

Aozora Bunko

般若の口笛

「臼挽き歌を口笛で吹いていたの」

「ええ」

「やってごらん」

「やってみましょうか」

手に野槍を持ち、顔に般若の仮面をかぶっていた高麗村の次郎は、その仮面をヒョイと額の上へめくりあげると、おかしな諧調で臼挽き歌の一節を吹き出しました。

それが済むと、すぐに仮面を元のとおり顔へつけ直し、野槍を杖に、したり顔して月江の供について行く。

聞き澄ましてから月江はまた、したり顔のうしろの仮面を振り向きました。

「次郎や」

「なんですか、お嬢様」

「最前から、おまえは面白そうに、仮面を顔へつけて歩いているようだけれど、なぜふところに仕舞っておかないの」

「もしか、落とすといけないからです。ハイ、手に持って歩くよりも、ふところに入れて歩くよりも、顔につけて歩いていれば一番大丈夫ですからね。決して、面白がってかぶっているわけではありません。顔でお仮面をさげてあるいているだけなンです」

「おまえはほんとに言い抜けがうまいわ」

「だって、ほんとにそうなんですから]

「手で持って歩いても、顔で持って歩いて行ってもいいから、落としたりキズにしたりしないようになさいよ」

「はい、それは次郎も合点していますよ」