Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas

Aozora Bunko

「――で、なんでしょうか」

伝吉は一ぷくつけながら、小屋へ這入っての方が、かえって耳につく潮鳴りの間に声を密めて、

「その……きょうか今夜は、必ずこの辺へつくはずだと親方のいう霊岸河岸をでた乾鰯船には、いッたい、だれとだれが乗り合わせて来るんでしょうか。そいつアまだ、親方には目星はついていねえんでしょうね」

「分っているのは、日本左衛門に先生金右衛門だが、そのほかの者といやあ、まず四ツ目屋の新助、雲霧の仁三、尺取の十太郎、あのへんだろうな」

「で……そいつらの旅へ出たのは」

「無論、江戸は近ごろ物騒だからよ」

「夜光の短刀をさがす目的もあるんでございましょう」

「それもある……だがそれより先に」

「お粂ですか」

「ウム、自分を裏切った丹頂のお粂――お粂を奪ったとにらまれている相良金吾。――日本左衛門はなにより先に、この二人を生かしちゃおくまいと、おれは前から要心しているのだ」

「なるほど、あの男にしても仲間の者にも、それくらいな執念はありましょうね」

「どッちみち、こんどは、よほど気をつけないと、お粂はもちろんのこと、金吾様の命もあぶない、おれも、江戸表ならどうにでも捕手を自由に使ってみせるが、旅へ出ちゃ腕一本すね一本、それにひきかえて日本左衛門の方は……」