Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas

Aozora Bunko

「じゃあ……」と馬春堂の厚い唇がワナワナとふるえて、

「わしの生き胆が入用なために、ここへ捕えて置くというのはまったくなのか」

「今日までおかくし申していたが、貴殿はこれでちょうど四人目。御隠家様のお心として、いかに月江様のお生命が大切じゃとて、罪なき人の生き胆をとるのは余りにむごい為業、何かよい工夫はないかとお考えの末に、あの石神堂の穴が思いつかれたのです」

「? ……」

馬春堂は、なるほどとも申しません。

もう酒の気もどこへやら。

給仕の郷士は、あらかじめ覚悟をさせて置くように、人胆の由来と犠牲者に選まれた理由を述べ、因果をふくめるつもりでしょうが、馬春堂の身になってみれば、聞きたくもあり聞きたくもなしで、もう半ばは生ける心地もないでしょう。

「――そこであの銭瓶の穴は、貴殿もよく御承知の通り、落ちたが最後出られません。そんな所へ、なんで酔狂に落ちる人間があるかというと、石神様の賽銭盗みが時々引っかかるので、いわば神罰と見なすべき奴――、そういう人間ならば、司祭者である狛家として、それを成敗いたすのは当然、なんの仔細もあるまいというので、あの武蔵野にある各所の石神堂に、生き胆をとるべき人間の罠に懸るのを待っているのじゃ」