Clásicos japoneses con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas
暮れのこる卯の花に、もうこの山里では時鳥の声が聞かれます。
「えっ、癆? ……」
と、奥の一間からびッくりしたような人声。
そこに対座して夕刻から、何かヒソヒソと囁いていたのは千蛾と関久米之丞の二人です。
淡墨の絵襖に、高脚の切燈台の灯が静かにまたたいて、黒い艶をもった柱、古色をおびた天井、つぶし貝が星のように光る砂壁など、いかさま千余年来の旧家と思われる落着きです。
「月江殿には不治の癆※(「やまいだれ+亥」、第3水準1-88-46)であると仰っしゃいますか」
久米之丞は、もう一度こういって、千蛾へ膝をつめ寄せている。
かれが、行末は自分の妻と、深く思いきめている月江の血のなかに、癆という怖るべき不治の業病が潜んでいるということは、今――たッた今ここで初めて、御隠家自身の口からぶっつけに話されたのですから、久米之丞がわが事以上に愕然としたのも無理ではありません。
だが、また。
そんな虚言を構えて、自分に断念させようとする千蛾の腹ではないかとも思って、少しひがみを持ちながら、
「仰せではござるが、あの健康そのものの月江殿が、癆※(「やまいだれ+亥」、第3水準1-88-46)なんて、そんな御病気であるはずはございますまい」