Clásicos japoneses con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas
「おや、これはめずらしい」
高麗村郷士の男は、そこへ近づいてゆくと彼の手にある鍬と彼の顔とを見くらべて、
「あなたが庭木いじりをなさるなんて、かつて見たこともないのに、一体、どういう加減で土いじりなぞをお初めなさるか」
「ばかにしてはいかんよ――」と久米之丞は、あの物慾満々な大きな鼻を笑い広げて、
「拙者だって、そう没風流じゃないつもりだが」
「そうですな、そういえばこのお住居なぞは、実に風流きわまるものでござる。しかし、鍬を持って土を返している久米之丞殿の姿を拝んだのは、何せ今日初めてなので、ちょッとばかり異様に感じた次第でござる……。で、何をお植えなさるので?」
「草花の土床を作ろうと思ってな」
「へえ、草花の土床を?」
「そういちいち驚く顔をいたすなよ」
「いや何、まことに、しおらしいお慰みと存じます。ですが、草花の種子をおろすのは、たいがい春か秋の彼岸をよしと伺っていますが」
「そうかな」
「そうかなは心細い。それで何をお蒔きになるつもりですか」
「異国の草花、鶏血草の種子をまいて、一つ、この秋頃に咲かしてみたいと思っているのだ」
「なるほど、異国の草では、種子の季節もよく分りますまい」