Clásicos japoneses con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas
「ふウむ……」
「通ってよろしゅうございましょうか」
「待て待て、門鑑を一見する」
「門鑑はこのとおりで」
「待てよ、ちょッと」
「へい」
「お手は?」
「へ?」
「おまえじゃない、御同役、お手は?」
少し負け色とみえて、盤に向っている男は、役目の方などはそッちのけで、
「何だッけ、お手は」
と、やッきになっている様子。
向うはすこぶる楽天的な態度で、
「お手かネ、お手は金銀さんご綾にしき」
「ふざけないでさ」
「だから、金銀に歩が一丁」
「金銀に歩か。ウーム……」
尺取はこの虚に乗じて、役宅のなかへまぎれ込んでしまおうかとも思いましたが、急いではあぶないと、わる度胸をすえて、わざわざ将棋の仲間へ首を寄せてゆきながら、同じように及び腰で、
「な、なるほど、こいつあ難局でございますね。こちらの持駒は? 角に桂馬? なるほど、角に桂馬と……ウーム……こいつあ打つ手がありませんネ……。王手と行くよ。金と下がる、そいつもまずいや」
「角屋、貴様も好きだとみえるな」
「とても、横好きの組なンで」
「何か名案はないか」
「さあ……どうも」
「弱ったな」
「弱りましたな」
仲間にはいって、いつかしら角屋ということを認めさせましたから、もうよい時分と、そろそろ足抜きの心支度をしていますと、そこへ不意に戻って来た最前の釘勘が、