Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas

Aozora Bunko

そうまでいう女を、無碍に斬って立退くのは、少し無残な気がしないでもありませんが、

「いや、待ってはおられん」

突っ放しざま、金吾は、了戒の一刀を抜き打ちにと持ち直しました。

が、

その鯉口の切って走る前に、今の化粧下をそそいだ布が、金吾の顔にふわりと投げられたかと思うと、彼の五体は、力なくよろよろとお粂のささえる腕へもたれて来ました。

奥で妙な物音がしたものですから、

「太夫さん、まだですか」

外に立っていた使いの源七、格子を細目にあけて、首をつッこみますと、

「あ、源さん、すまないが四ツ角の駕政に行って、一挺急いでくるように、たのんで来ておくれでないか」

と、境のふすまから半身のぞませて、少し息をせいたお粂が、あわてて、はいって来そうな源七の足を止めました。

その顔色が、青隈をとったように青ざめていたのには、使いの源七は気がつかないで、

「じゃ、駕で飛ばして来てくれますか」

「アア、あとからすぐに行くからね」

「お願い申します。じゃあ私は、駕政へ声をかけて、一足お先に」

「ご苦労だったね」

馳けだしてゆく源七を見送ってから、お粂はまた静かに奥へ戻って来て、そこに、うッ伏していた金吾のからだを、次の座敷へ抱き入れました。