Clásicos japoneses con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas
――ともすればその十手に、うしろを襲われそうなのが、いちじるしく日本左衛門の不利でもあり、彼の気をいらだたせていました。で、眼前の邪魔者を、早く片づけようとするあせり気が、カッカと燃える毒焔のように、長船の先からほとばしッている。
金吾は一途です、死に身です。積日の怨みをこの機会にすすがなければ、彼の立場はありません。生きて何人に会わせる顔もない。こう死を期している彼でした。
この気持の相違は、いやでも双方の剣の上にあらわれなければなりません。
日本左衛門が、つけ入ろうつけ入ろうとするほど、金吾は堅実味のある平手構えをくずさず、容易に絃を切って放たないのは、いつもの金吾とだいぶちがいます。すくなくも、あの精悍一徹なあぶな気が、今夜だけはないようです。或いは、それを自分の短所と知って、大いに戒しめているのかも知れない。
ですが。
場合による双方の気もちの変化はともかく、根本の実力に於いて、金吾の巧者が日本左衛門の剛質な剣法に及ばないことは、千鳥ヶ浜の場合でも証拠だてられているとおり、うごかすことのできない事実です。
やがて、金吾の堅実にとった平青眼も、彼のすばらしい圧倒的な上段に、割りこまれはしないだろうか、その危ぶみが、ないとは言えません。