Clásicos japoneses con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas
映じたでありましょう。
下へ落ちた伝八は、ただ一刀に絶命して、
「ウームッ……」
と枯れ草の根をつかみ、滅前の一燦ともいうべき断末苦を、ピクリ、ピクリ、と四肢の先に脈うたせているばかり、
ですが。
お蝶にも龍平にも、どうして、誰に、伝八がかく斬りさげられたのか殆ど前後が分らない。
こんな一瞬の気もちを夢中というだけで片づけるには、あまりに当人たちの心理が複雑でありましょう――言いようのない恐怖、疑惑、戦慄、さまざまな錯倒を胸に描いて、なお怖いもの見たさの目が無意識に、真っ黒な口をあいた蔵の戸前へつり上がッている。
逃げるにも逃げられる場合ではなし、その気力もあり得ようはずはなく、疑惑とおののきを歯の根にかみしめて、虫のごとく、
「? ……」
ただジッと、息をころしているほかにない男女。
すると、静かな空気のまま。
魔法をもって吹き出された人間のごとく、蔵の中からのッそりと足をふみ出したのは雲つくばかりな大男――、栗色の衣類に野袴をうがち、肩のあたりまでふッさりと総髪の毛先を垂れた中年頑骨の武士、これ、暗中にその声のみしていた、抜け買い派の頭領先生金右衛門です。