Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
「でも。」
美奈子は、躊躇した。彼女は、そうためらいながらも、青年の顔を見ずにはいられなかったのである。彼は、部屋の一隅の籐椅子に腰を下していたが、その白い顔は、烈しい憤怒のために、充血していた。彼は、爛々たる眸を、恨めしげに母の上に投げていたのである。美奈子は、そうした青年の容子を見ることが、心苦しかった。彼女は、青年のために、心の動顛している青年のためにも、母の勧めに、おいそれと従うことは出来なかった。
「いゝじゃありませんの。図書室なんか、今晩に限ったことはないのでしょう。ねえ! いらっしゃい。妾お願いしますから。」
母は、余儀ないように云った。そう云われゝば、美奈子は、同行を強いて断るほどの口実は何もなかった。たゞ彼女には、自分を極力同行せしめようとする母の真意が、何うしても分らなかった。
「ねえ! 青木さん! 美奈さんと、三人でなければ面白くありませんわねえ。二人限じゃ淋しいし張合がありませんわねえ!」
母は、青年に同意を求めた。
何もかも知っている美奈子は、母のやり方が、恐ろしかった。青年が、嫌いだと云うものを、グン/\咽喉に押し込むような、母の意地の悪い逆な態度が、恐ろしかった。