Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans
得石の手が口髭へいった。
「ちょっとそこまで歩いてくれ」と男は顎をしゃくった、「その裏の空地までだ、てまはとらせねえから来てくれ」
「用があるならここで聞きましょう」と彼はひるまない口ぶりで答えた、「いったいおまえさんはどういう人だ」
「裏へいきゃあわかるこった、世話あやかせねえでちょっと来てくれ」男は唇で笑った、「ここでもいいが往来の眼があるぜ、人の見ている前で恥をかくのは、おめえだってうれしかあねえだろう」
「しかし用というのはいったい」
「うるせえな」と男は乱暴に遮り、ふところ手を出したとみると、すばやく得石の腕を掴んだ、「下手に出ていればいい気になりゃあがって、野郎、来るのか来ねえのか」
すでに往来の人が四、五人、立停ってこっちを見ていた。
「わかった」と彼は弱味を見せまいとしながら云った、「それほど云うのならゆこう、だが乱暴なことはするな」
「おめえほどじゃあねえさ」
さあこっちだと云って、男は得石の腕を掴んだまま、紙問屋と乾物屋の路地をぬけていった。――路地を出ると百坪ばかりの空地で、隅のほうに古材木が積んであり、地面は霜どけのためにぐしゃぐしゃしていた。