Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

十一

と云ってよろよろと立ちあがった。おしのはそっと眼をつむった。

十一

奥の六帖で、菊太郎をゆり起こすおそのの声がした。飲み直しよ、起きなさいな、まだ宵のくちじゃないの。もうだめですよ、という菊太郎のねぼけ声も聞えた。駕籠を停めては飲み、飲んでは駕籠に揺られて、骨の髄まで草臥れはてました、これ以上飲めば死んじまいます。いくじのないことを云うわね、くすぐるわよ。菊太郎が叫び声をあげ、それから、「ひどいわねえ」と云うのが聞えた。

「まだ飲むつもりなのね」とおしのは呟いた。頭で考えていることとは無関係に、口だけが動いたというふうであった。

暫くして、おしのは自分の両手を見、眉をひそめながら呟いた、「この中に流れてるのよ、あたしのこの躯に流れているのはおっ母さんの血よ」そして、汚ない物でも振り払うように、両手を激しく振った。

「人間じゃないわね」とおしのはまた呟いた、「おっ母さんは人間じゃない、おっ母さんの血の流れているこの躯も人間じゃないわ、ああきたない」

おしのは身ぶるいをした。戦慄のように激しく身ぶるいをし、すると上唇が捲れて、歯が剥きだしになった。

――ひと言あれに云いたいことがある。