Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

序章

序章

天保五年正月二日に、本所の亀戸天神に近い白河端というところで、中村仏庵という奇人が病死した。年は八十四歳であった。彼は大工と畳職の棟梁であるが、書をよくし、雲介舎弥太夫と号していた。それは、箱根へ湯治にいったとき、駕籠舁から息杖を買って帰り、その杖に諸家から題詩を貰って彫りつけ柱に掛けて自慢していた。それで雲介舎などとなのったらしいが、そのまえ、本所の小梅に住んでいたとき、役者の岩井紫若がその土地を買った。紫若はそこへ家を建てるので、追立てられた彼ははらだちまぎれに、その住み古した家の壁へ左のような狂歌を書いて立退いた。

雲介が住みあらしたる家なれば

河原乞食や跡にきぬらん

奇人ではあったけれども、あまり世間からは好かれていなかったようだ。この仏庵の住居から一丁ほど南に寄って、やはり白河端に「むさし屋喜兵衛」の寮があった。むさし屋は日本橋本石町三丁目の薬種屋で、隣りに油屋も兼業してい、老舗としても資産家としても、市中にひろくその名を知られていた。

仏庵が死んでから四日めに当る、同じ正月の六日の夜半、その「むさし屋」の寮が自火で焼け、焼け跡から三人の死躰が出た。